2010年04月アーカイブ
(2010年4月16日)

カテゴリ:キャリアのことも
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就職戦線も山場を迎えたようで、学生からも内定報告が入るようになった。
決まったという話はうれしいのだが、この頃に多いのが「断り方」に関する話で、聞いていると企業の浅ましさが浮き彫りになってくる。
傍から見れば、人気の高い一流企業でも、この時点になると企業の「柄」のようなものが見えてくるから面白い。学生も、それを敏感に感じ取る。つまり、内定出しの時点でドッシリ構えられない企業は、ブラックとまでは言わないまでも黒よりの灰色だったりする。
一番まっとうな企業は「内定です」としか言わない。「他は回らなくても結構です」くらいはいう。
企業によっては「他は断ってください」というらしい。まだ他を回りたい学生が「どうすればいいですか」と聞いた時には、「好きなだけ活動しなさい」という。
「他を断ったら内定を出す」とか言う話になってくると、話がややこしい。「ハイ断りました」と言っておいてコッソリ回ればいいだろう、というなら話はカンタン。ややこしいのは、この時点で学生が「こんな企業に入りたくない」と思い始めることなのだ。
「**では、その場で電話をかけて断らせる」という話も聞くが、これも都市伝説かもしれない。ただ、こういう企業って実際のビジネスでも「お行儀が悪い」と言われる会社だったりする。学生のカンは正しいのだ。「一度店に入ったら最後」のぼったくりバーと変わらない。
こういう品位の低い企業では、結局採用も「ノルマ」なのだ。ある程度の「優秀な」学生を予定通り採れました、と経営陣に報告することが人事部長の仕事。不況の時は「今年は少数精鋭です」となり、好景気なら「幅広い人材を確保しました」ということになる。
この手の内定間際のせめぎ合いは、僕が学生の頃から変わっていない。いくら人事制度をいじっても、根本的な何かがダメなままなのだと思う。



ニンテンドーDS対応の、アドベンチャーゲーム。結論から言うと、かなり楽しめた。
マルチエンディングなのだけれど、全体の謎の散らせ方が上手で、「形態形成場理論」など、それなりに擬似科学ないろんなバックグラウンドも、ゲームならありかなと思わせる。
DSは、アドベンチャーゲームのカテゴリーで結構面白いのが増えているんだけど、レビューなんかを見ていると女性や大人が多い感じがする。RPGよりもライトなものが多いので、DSユーザにはいいのかもしれない。それにタッチペンは脱出や捜査のための捜索には向いたつくりなのだ。
いろんなレビューで共通して書かれているように、2周り目以降の捜索がスキップできないのはちょっとストレスフルだが、これがスキップできるとそれはそれであっけない気もする。いろんな意見はあるだろうが、そうそう出会えるようなゲームではないと思う。



(2010年4月13日)

カテゴリ:広告など
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前期、つまり2010年3月期の総合広告代理店の決算が、空前の厳しさだったことは今さらでもないだろう。既に、かなり前からのそのような予測になっていた。
しかし、ここへ来て電通が決算を上方修正した。こ想像以上に出稿が戻っているということらしいが、そのあたりをちょっと見てみよう。参照している数字は、電通と博報堂の12月からの単月売り上げ推移の対前年比(両社とも単体)である。
この数字、消費市場の動向を見る上では結構面白いので、別に広告関係以外の人でも使えるところがある。4つのグラフは左上から、両社の総計、テレビ、マーケティング・プロモーション、そしてインタラクティブ(インターネット)である。一部表記は異なるが、この項目で比較してみよう。
結論から言うと、大逆風の悪天のマラソンだったこの1年、最後の35キロ辺りから電通が歯を食いしばって抜け出している風景が見えてくる。
まずトータルだが1月まで両社とも対前年比割れだったが、2月に久しぶりに電通が100%を超えている。そして3月は前年並み。博報堂はほぼ90%弱で推移。
最大の種目であるテレビは両社とも、不透明な感じで動いている。そして、テレビに次ぐ種目である「マーケティング・プロモーション」。ここで大きな動きがあった。この4ヶ月、電通は回復基調に乗っているのに対して、博報堂は80%を切るくらいの推移である。
実はこの種目の業績への売り上げへのインパクトは大きい。
>> この4ヶ月の電博では。の続きを読む



昨日、花見した人いますか?あ、何人かいますね。前から計画していた人は?いないか。どうして?そうだね、この土日まで持つと思わなかったんでしょうね。
そりゃそうだよな。たまたま気温が低くて散らなかったようなものだから。僕も見に行ったけど、もう露店が出ていないんだよね。
これって、ビジネスチャンスを逸しているよね。桜が二週にわたって持つという「変化」に対応できない。環境変化に対応した人や店は、きっちり利益上げているわけ。
今日はマーケティングの講義なんだけど、まず大切なのはこの「環境変化」をどれだけ先取りできるか、ということ。そして、今年の桜のようにその状況は常に変化する。そういう情報に敏感にならないといけない。
で、それ以前に考えなきゃいけないことがある。桜が咲くと、何が売れる?そうだね。酒が売れるよね。みんな花見で酒を飲むから。
でも、普通木の下で昼から酒飲まないよな。桜が咲いているから、昼から飲む。別におかしくない。
でも桜が散ったら違うでしょ。単に「昼から公園の木の下で酒を飲むダメな人たち」でしかない。つまり日本人にとって桜の花というのは「この下で昼から飲んでもいいよ」という記号なんだよ。こんな花ほかにないでしょ。ヒマワリの下で酒盛りしてたら、やっぱ変な人だし。
マーケティングっていうのは、この「桜の花」にあたるものを創造することなんだ。つまり、「そのものを買う理由(動機)」を提供してあげるということ。
「お酒を買ってください」と連呼して安くするのは「セールス」。マーケティングは、この「桜の花」にあたるものを考えること。
マーケティングって何だろう?と思ったらこの花見のことを思い出してほしい。
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本日、とある会社の新人に朝からマーケティングの講義。冒頭に話した内容を再現してみた。



東京・春・音楽祭 東京オペラの森2010
4月9日 19時 東京文化会館大ホール
■出演
指揮:リッカルド・ムーティ
ソプラノ:デジレ・ランカトーレ/カウンター・テナー:マックス・エマヌエル・ツェンチッチ/バリトン:リュドヴィク・テジエ
管弦楽:東京春祭特別オーケストラ
合唱:東京オペラシンガーズ/児童合唱:東京少年少女合唱隊/合唱指揮:ロベルト・ガッビアーニ
■曲目
モーツァルト:交響曲第35番 二長調 K.385 《ハフナー》
オルフ:世俗カンタータ《カルミナ・ブラーナ》(字幕付)

カルミナ・ブラーナを生で、しかもトップクラスの指揮者で聴ける機会は滅多にない。というわけで、チケットを買うことは躊躇なく決定。1F右サイドだったが、東京文化の1Fは正面よりもこちらの方が好きなのだ。ここに空席があった。
ハフナーは2005年にムーティがウィーン・フィルと来日した時に聴いた。D-durで弦がよく鳴る。この日もメヌエットの頃からオケが温まってきて、フィナーレの頃にはいい響きになってきた。
東京文化で、このサイズのオケはちょっと響きが細く聴こえるのだけれど、カルミナ・ブラーナについては、このホールの美点が十分に発揮されるだろうな、と改めて思う。オケはティンパニーが期待できそう。全体的には日本のオケの標準よりは安定している感じ。
ムーティは、「立派な」指揮ぶりで、モーツアルトだと時に違和感を感じる人もいるかもしれない。
さて、休憩を挟んで「カルミナ・ブラーナ」いや、素晴らしかった。この曲、生で聴くのは初めてだったんだけれど、実はクラシック好きでなくても第1曲を聴くと「ああ、これか」と思う人も多いだろう。映画の予告編や、スポーツの特番などでよく使われる。
映画だと「地球最後の日」や大規模テロなどのカタストロフィーもの。スポーツ特番だと「ワールドカップへ最終決戦!」みたいな時だな。
つまり「大げさな音楽」、これぞクラシックな曲なのである。

>> ムーティは跳ねていた。の続きを読む