数字に見る「フジテレビ騒動」の本質。その1
(2011年8月31日)

カテゴリ:マーケティング
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とりあえず収まった話なのか、まだ続きがあるのかはわからないけれども、フジテレビを巡る一連の騒動で気になることがあった。局やフジサンケイグループの報道姿勢を見る限り、取り立てて「反日」とは思わないが、いろいろと突っ込まれるような「隙」があったようにも思う。
韓国コンテンツが増加したことはたしかかもしれないが、これは同局に限ったことでもない。ただし、フジテレビは「焦り」のようなものがあるようにも思う。僕自身、地上波は殆ど見ないのだけれど、「何となく」勢いがないような感じもするのだ。
あまり放送局の経営データなどは読まないのだけれど、大学の後期の講義の準備も兼ねながら、テレビ局のデータを眺めてみようと思ったのである。
ところが、いまはテレビ各局が持ち株会社になっていて決算短信などを見ても、経営の実態が分かりにくい。そこで、公開されている決算説明会の資料を見て、テレビ「局」としての経営状況を見た方が実態はよりわかる。
そこで、調べていくうちに、「longlowの日記」というブログがテレビ局の決算などについてこまめにまとめられていることが分かった。そこで、ご本人にメールで連絡して承諾をいただいた上で今回の参考にさせていただいた。結局、各局の資料を再度確認したのだけれども、この一覧がないと、結構骨の折れる作業になったと思う。大変感謝したい。
で、今回の「騒動」の中で比較的冷静な分析として「テレビ局が経費削減のために韓国コンテンツを買った」という話がよく聞かれた。たしかに、それはそうだと思うのだが、先にも書いたようにフジテレビ以外の局も結構厳しいはずである。
それでは、フジテレビが「特に厳しい」ということはあるのだろうか。


まず、民放各局の制作費の推移を見ることにした。2010年度の決算時の数字と2007年度を比較してみよう。(単位は100万円)
テレビ広告費は2008年から減少幅が拡大しているので、局によって違いはあるものの2007年度との比較をすることで減少のインパクトがよくわかる。詳細は先にも紹介したこちらのページをご覧になってほしい。

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減少幅はNTV、TBS、テレビ東京(TX)で21~22%ほど。もっとも少ないテレビ朝日(EX)でも15.3%で、フジテレビ(CX)は16.3%である。
絶対額を見ても、TBSが266億と最大である。2007年時点でTBSが民放最高額の制作費を投じて何を作っていたのか若干不思議ではあるものの、2010年度はフジテレビがトップとなっている。
後で見るが、局としての売上高も図抜けて1位のフジテレビが他局に比べて特段ケチケチする必要もないと思うのだが、いろいろ数字を見ていくと「ああ、なるほど」と思うところも出てきたりする。
というわけで、この続きはまた後日。(放送局のデータ分析は何回かに分けて書く予定)