LOHASは勝ち組なのか
(2011年11月16日)

カテゴリ:マーケティング
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「ソトコト」という雑誌の最新号の広告にこんなフレーズがあった。
『東京を離れる人がふえている。とくに「勝ち組」と呼ばれる若者が、大企業や都会を離れ、地方の人と新しい生き方を始めている。』
この号の特集は「移住大特集~日本の環境ユートピア」ということで、こういうコピーになったわけだ。
ソトコト、という雑誌は「LOHAS」がコンセプトだ。そういえば、このLOHASって意外とアルファベットの由来を知らない人もいる。学生にLife of~まで教えたら「Happy and Smile」と答えられたこともある。妙に納得感があるけど。
で、僕が気になったのはコピーの件だ。そうか、LOHASは「勝ち組」のものになったのだなあ、という感慨とでもいうのか。そもそもソトコトという雑誌に「勝ち組」という言葉が出てくることにも違和感はあるのだけど。
しかし、それは事実なのだろう。実際LOHASはカネがかかる。というか、時間も含めて余裕がないと難しい。
リーマンショック以降、米国で”comfortable food”が人気になっているというニュースを見たことがある。このcomfortableというのは心地よいというよりは「なじみ深い」とでもいうべきニュアンスで、ホットドックやハンバーガーのことだ。つまりjunk foodのことなんだけど、要するに不況となればまずは腹を満たすことが優先というなのだ。


一方で、東京などの都市部では自転車通勤をしている若い人は増えている。
朝、山手通りを南下すると神泉を過ぎた辺から一気に自転車が目立つ。一方で、若者がクルマを買わない、というのは一般的な事実のように言われている。
クルマを買わないのは経済的要因も大きいかもしれない。しかし、200万出してもクルマは「フツー」のクラスしか手に入らないが、20万あればかなりいい自転車が買える。
ある程度都心部に住んでいるからそういう自転車で通勤ができるのだろう。そういう人にとってクルマは不要になる。
一方で、所得が低い人にとってクルマは必需品だ。そういう場所でないと、住宅が選べないからだ。もちろん「クルマなんていらない」と言えるわけがない。そもそも「クルマがなくてもいい」エリアに住んでいる人は、所得や資産のベースが高いのだ。
LOHASと勝ち組。そこからは、「世代内格差」が浮き上がってくる。「若者は損をしている」という議論はある一面ではそうかもしれない。ただ世代間格差に目を奪われていると、世代内というか社会全体の構造を見逃してしまう気がしている。