NHK「子ども科学電話相談」は、なぜ魅力的なのか?
(2019年1月4日)

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あけましておめでとうございます。

やたら「平成最後」が連呼されているけれど、それはもちろん日本だけの話なわけで、そもそも個人的には元号で時代を感じるわけでもない。昔から紅白も観ないし、今年からはおせちも年賀状も離脱したので、もう「勝手に正月廃止」くらいの勢いだ。

とはいえ、時間はあるのでテレビとかは一応気にするけれど、いやしかし再放送が増えたなあ。それでも、例年BSを含めてNHKだけは録画しておこうかという番組もあるけど、今年はこちらも再放送が多くてほとんど録らなかった。

考えてみると、おせちって作り置きの料理だし、それを食べながら作り置きの番組を見るっていうのも、どこかで飽きるよな。

生放送の箱根駅伝の視聴率が伸びるのもよくわかる。

しかし!今年正月の生放送と言えば、「冬休み子ども科学電話相談」だ!NHKの、AM第一放送である。一頃青息吐息のラジオだったけれど、ネット配信のおかげでジワジワと戻している感じだ。

「夏休み子ども科学電話相談」は、とても好きで、いまでもよく聞いている。迂闊にも知らなかったのだけれど、一昨年12月から「冬休み」も始まり、今年はついに三が日にも進出だ。というわけで、今年の正月放送の最大の目玉は、個人的にはこの電話相談だったのである。

このプログラムだけれど、ここ数年ジワジワと大人のファンが増えている気がする。いろいろ考えられるけれど、まずNHKが翌日の聴き逃しサービスはもちろん、文字起こしまでしてくれるので、生放送を外しても聴き知ることができる。

しかも、ファンの「大人のお友達」がTwitterなどを編集しているので、番組タイトルを検索すれば反芻もできるのだ。

昨日は「渡り鳥」ならぬ「渡り恐竜はいるの?」という女の子の質問とやり取りが面白かった。「渡りって何だと思う?」と逆質問する小林快次先生に対して、「わたし的には」と軽くジャブを放った後に「同じところに住んでいる一つの種が一緒に移動する」という感じで答えたのだ。

僕だったら「季節によって、住みやすいところに移動する」とか言いそうだけど、たしかにそれじゃダメだ。「一つの種」ということで、動物行動として定義できるわけで、「俺は寒いのやだ」とかいう動きをしても、それはただのはぐれ鳥なんだろう。

というわけで、この恐竜担当の小林先生はNHKのこちらの番組でも活躍されたし、鳥類の川上和人先生はこちらの番組にも登場したけれど、著作も面白く、解説も鋭敏だ。この冬休みは「アホウドリの名前は変えられないのか?」「扇風機は羽があるのに、一羽二羽ではなく、なぜ一台二台なの?」というビーンボールのような質問にも、しっかり答えていた。
もう、駅伝はもちろん、あらゆるスポーツ以上に意表を突かれる「筋書きのないドラマ」なのである。

このお2人は、川上先生が恐竜話まで「領空侵犯」することもあって特に人気なのだが、他の先生も本当に素晴らしく、「考えて話す」ことの本質を教えてくれる。

そして、この番組を聴いていると、なんか日本の将来に対して薄日を感じる。子どもたちはきっと成長したらいい仕事をしそうだし、それにこんなに情熱を持って教えてくれる先生がたくさんいることにとても感動する。

そんなの根拠のない楽観論だと言われるかもしれないけど、幼少時から画一的な理数教育をするよりも、遥かに大きな可能性がこの「問答」にはあると思うのだ。

あ、今日は最後の回が14時から始まる。ぜひぜひ、聴いてみて欲しい。