「ベートーヴェンを聴く」夜。バイエルンとヤンソンス
(2012年11月28日)

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バイエルン放送交響楽団 演奏会
2012年11月27日 サントリーホール
ベートーヴェン 交響曲第1番 ハ長調 
ベートーヴェン 交響曲第2番 ニ長調
ベートーヴェン 交響曲第5番 ハ短調
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ここ数年ヤンソンスの来日公演は必ずのように行っている。技術的には卓越しているが、どこか「寸止め」感のあるコンセルトヘボウと、深みのあるサウンドとパッションがありつつ金管などのアンサンブルに傷のあるバイエルン。
ただし、いずれにせよ「次回も聴きたい」となるのは、ヤンソンスの人徳なのだろうか。
今回は、ベートーヴェン全曲チクルス。となると、滅多に聞けないということで、まず9番を選択。これは次の土曜日。
そして、意外とチケットがあったので、これも来日オケではあまり聴けない5番。座席はLAブロックの最前列。オケが対向配置で、コントラバスの背中を見るシートだった。
そして、今回も、「なぜそこで」というような傷があったけれども、おそらくそれを気にした人は殆どいなかったのではないだろうか。
なぜかというと、圧倒的に「ベートーヴェンの音楽」を堪能できたから。クラシックの素晴らしいコンサートでは、結局作曲家の想いがクッキリと浮き上がってくる。そして、とりわけ第5番のいい演奏を生で聴くと「あっという間に終わる」のだ。
特に3楽章からフィナーレに入る辺りを聴くと、ベートーヴェンがこれを書いた時はさぞかし楽しかったのではないかと、想像してしまう。
「フフフ、このまま切れ目なしにいきなりファンファーレ鳴ったら、驚くだろうな~」みたいな感じ。「エエイ、トロンボーン入れちゃえ」「ピッコロも面白いぞ」「もう一度、ダダダンでテーマ書いて、と」。だから、密度が濃い。
これが9番あたりになると、本人の間でもかなり収拾がつかなくなっていて、それはそれで面白いんだけど、5番の密度はすごい。
敢えて言えば、この夜は何と言っても、ベートーヴェンを聴く夜で、ついでオーケストラ、指揮者が順々に後景に存在しているという印象。
それが、いいんだよな。と最近は思うようになった。
1番、2番も印象はまったく同じだけれど、それぞれ緩徐楽章にハッとする響きを感じた。ちなみに前半の2曲は第一バイオリン12人の、いわゆる「12型」だったが、5番は「16型」。つまりコントラバスは2倍になるわけで、この辺りも含めてベートーヴェンの「化け方」を堪能するコンサートだった気もする。3番の編成はどうしたんだろうか。
というわけで、土曜日もかなり楽しみになってきた。