41ekb7lnjfl「ハドソン川の奇跡」という映画の邦題が、原題と相当違うということが話題になっていた。原題は「Sully」で主役となる機長の愛称らしい。このままでいいのか?と思案するのはよく分かるが、観た人によっては違和感を感じるという。

映画の邦題は、この辺りが悩ましい。原題でも「スターウォーズ」のような感じだったら問題ないのだが、英語文化の文脈でしかわからないものもある。

じゃあ、オペラだとどうなんだろう?これは基本的には「そのまま日本語」か「そのままカタカナ」だ。

「フィガロの結婚」とか「セビリアの理髪師」のようにいくか、「アイーダ」や「ラ・ボエーム」のどちらかになることが多い。そのまま訳して、かつ短い造語にした「魔笛」というのもあって、これは見ただけでピンと来る。ちなみに「椿姫」はオペラの「トラヴィアータ」ではなく、小説原題を訳している。

まあ、タイトルでヒットを狙おうという業界ではないのだから当然なわけで、古典小説のタイトルと同じような感じだ。

ただ小説でも「あゝ無情」「巌窟王」のようなものもあって、さすが黒岩涙香は興行師的感覚があったのだろう。まあ、さすがに近年は「レミゼラブル」だ。

で、オペラ邦題の傑作を挙げるとすると、ウェーバーの「魔弾の射手」だろう。オペラだけじゃなくて、さまざまな海外作品の「邦題NO.1」だと思う。 >> 上手な邦題私的NO.1は「魔弾の射手」の続きを読む



51xbtfd4gml先日、N響のコンサートを聴いて改めて思ったのだけれど、ムソルグスキーという人は「編曲意欲」を掻き立てる作曲家だったんだろうと、改めて思う。

「はげ山の一夜」の原典版はたしかに野趣あふれて面白いんだけど、それはリムスキー=コルサコフ編曲を知った上でのことだ。

あの編曲がなかったら、やはり「珍曲」として歴史の中に埋もれたようにも思う。少なくても、日本の教科書には載らなかったし、「ファンタジア」で使われることもなかっただろう。(たしか中学の教科書の鑑賞曲だった記憶がある)

そう考えると、腕っこきの作曲家にとってムソルグスキーの曲は、相当に「編曲意欲」を掻き立てられるものだったのだろう。

オーケストラ編曲も、ラヴェル以前に手がけたものがあるようだし、ピアノもリムスキー=コルサコフが編曲したものもある。

その上、ELPや冨田勲などもアレンジをしている。原典版として有名なのはリヒテルだが、そもそもそこに拘る必要はどれくらいあるんだろう?とも感じる。 >> ところで「キエフの大門」って何て読むんだ?の続きを読む



img_1919NHK交響楽団 演奏会

指揮:パーヴォ・ヤルヴィ

2016年9月17日 東京芸術劇場大ホール

ムソルグスキー/交響詩『はげ山の一夜』(原典版「聖ヨハネ祭のはげ山の一夜」)

武満 徹/ア・ウェイ・ア・ローンⅡ(1981)

武満徹/ハウ・スロー・ザ・ウィンド(1991)

ムソルグスキー(リムスキー=コルサコフ編曲)/歌劇『ホヴァンシチナ』より第4幕第2場への間奏曲「ゴリツィン公の流刑」

ムソルグスキー(ラヴェル編曲)/組曲『展覧会の絵』

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ヤルヴィとN響の評判は相当高いのだけれど、やっと聴きにいくことができた。サントリーホールの定期演奏会と同じ曲目で、会場は池袋。東京都の主催公演のようだ。

展覧会の絵が終わって感じたのだけれど、このコンビは相当聴きごたえがある。N響の黄金時代を築く可能性があるし、在京の他のオケにとっては相当な脅威だろう。

N響は「大人のオケ」だ。だから、時によっては退屈とも言われるが、そもそもの水準は高いしレスポンスはいい。だから、適宜オケに委ねつつ、ここというところを締めるようなヤルヴィはN響の潜在能力をフルに引き出す。 >> ヤルヴィはN響の黄金時代をつくるのか。の続きを読む



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【今日の音楽とディスク】 ロッシーニ「弦楽のためのソナタ」 イタリア合奏団
夏が終わろうとしている。というか、お盆明けから東日本は気候不順で、その後の台風ですっかり夏気分は終わった。

オリンピックが終わったことも象徴的だったけれど、あの辺りで今年の夏は店仕舞い。オリンピックは、閉幕前の男子4×100mリレーの爽快感があったけれど、終わると同時に爽やかさとは遠い事件がやたらと出てくる。

そして、さらに台風が来るらしい。

夏になってから、ディーリアスやラプソディ、メンデルスゾーンの無言歌などを紹介してきた。夏とクラシック音楽は、あまり相性が良くないと思っていたけど、探していくとそんなこともないかもしれない。

ベートーヴェンやワーグナーあたりが、ちょっと暑苦しいイメージなのだろう。

そして、ちょっと先取りして初秋にはどんな曲だろう。ブラームスやドヴォルザークは、もう少し秋が深まってからだと思うし、ちょっと夏の余韻がほしい。

というわけで、お薦めはロッシーニの「弦楽のためのソナタ」ということでいかがだろう。 >> 初秋の風が吹いたら、ロッシーニの「弦楽のためのソナタ」を。の続きを読む



41CUOTwtAGL2000年前後のことだけど、日本にはフランス系の「指導者」が相次いでやって来た。日産に来たカルロス・ゴーン、サッカー日本代表のトルシエ辺りは一般的にもよく知られているが、N響の音楽監督のシャルル・デュトワもそうだ。

みな信念のしっかりしたリーダーだ。ただしいまでも君臨しているのは、ゴーンくらいで、N響は後任にアシュケナージを選んだ。

別に指揮者としてすごく変なわけではないし、実績もあるけれど、なんだかガッカリした覚えがある。デュトワの強いリーダーシップに疲れたんじゃなないか?という印象を持った。サッカーの後任も含めて、まあその結果について今さら細かく書くつもりもないが。

いっぽうで、ピアニストとしては、20世紀後半において重要な存在だったと思う。いま聴いてみると、「こう弾くのは、できそうでできないんだよな」と思うことも多い。

最後にピアノを聴いたのは1998年の来日公演で、シューベルトのイ短調ソナタだった。その時に61歳だったが、今年は79歳。そんな齢になっているのか。 >> 正しく、深く、美しい。アシュケナージのモーツアルト。の続きを読む