首相を辞める理由。
(2010年6月13日)

カテゴリ:世の中いろいろ
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めずらしく、政治の話。
鳩山内閣の退陣を「マスメディアの圧力」のように書く雰囲気が、とりわけネットでは強いようだけれど、それに対して疑問を持ったのが今回の分析。
つまり、「首相ってそれほど脆いのか」「メディアはそれ程強いのか」という話である。
結論からいうと、首相というのはそうやすやすと「辞めさせられる」ものではない。今回の交代劇も、参院選の年に見られる党内圧力由来の「表紙替え」の典型ということだ。
佐藤栄作以降の「辞めた理由」をチャート分析したのが、ご覧の図である。まあ、複数の理由が重なることもあるので議論はあるかもしれないが、ほぼこういう感じだと思うよ。

さて、上から見ていくとBの場合だと宮沢は内閣不信任案の可決で、後の2人は政権与党が少数派になったことに伴う辞職。
Cというのは、福田しかない。まあこんなことができたのも、自民党に余裕があったからだろう。

Dというのは、3人とも長期政権である。こうして堂々と退陣できた首相は大変少ない。一方その間に後継者を競わせるので、「三角大福中」「安竹宮」「麻垣康三」などのワードが生まれる。そして、その後の政権は、この有力後継者のたらい回し状態になって、それが尽きた頃に長期政権が生まれる。
このあたりまでは、一応何らかの「ルール」の結果である。

日本的、というか何とも言いがたいのが「自発的辞任」であるけれど。これも幾つかのパターンがある。

Fというのは、その中でもわかりやすい。衆議院で過半数が維持されていても「ゴメンナサイ」というものだ。
Gは、まさに今回のパターンである。3人とも参院選の年にズンズンと不人気になった。そこで、予算を通した後にお引取りいただく、というパターンである。ただし、表紙を宇野に変えて大敗した89年自民党と、小泉に変えて大成功した01年の同党の例がある。今度はどっちになるのだろうか。

Hはメディアが追いつめて退陣に追い込んだ例である。田中はその意味でも稀有な首相だったと思うが、別にこの時点で違法行為をしていたわけではない。それでも世論はその「金脈」を許さなかった。検察捜査もなく、もちろん「不起訴」以前の段階でも、退陣せざるを得なかったのだ。
Iというのは、その真相が結局藪の中である。ただし首相になる際に「回りから担がれた」人ばかりであることに気づく。複数回総裁選挙に出馬したような人はいない。それが淡白さにつながるのだろうか。

さて、この中に1名書かれていない人がいることに気づかれただろうか。そう、安倍晋三である。実は、どこに置いていいのかよくわからなったのだ。表向きは健康上の理由ではあるけれど、選挙責任のようにも見えるし、そもそも行き詰まり感は相当に強かった。そういうわけで、どうにも位置づけようがなかったのである。
これを書いていていろいろ気づいたことはあったのだけれど、それはまた後日。