51oMrVNPrrL日曜の夕方、家で食事する前に隣の駅まで1人で散歩して、ふらりと知らない店に入った。

カウンターでビールを飲みながら、新じゃがのポテトサラダをもらう。長ネギかと思ったら「高菜」だという。新玉ねぎと鶏胸肉のマリネで、山形の白ワインと続けて、そのまま居座りたいくらいだったのだが、食事の準備も進んでいるので帰宅することにした。

シェフの腕も並べているワインのセンスもいいなと思ったのだが、その店にあった本が、この「図解ワイン一年生」だった。

僕は、なぜか人からワイン通と思われることが多いのだが、あまりよくわかってない。理由はわからないが、よく行く店でも勝手にそう思われてるので、とにかく何を言われても頷くことにしているのだが。

というわけで、ワインの本は一冊も持ってないし、手にとってもやめてしまっていたのだけれど、この本はすぐに買ってしまった。なんか読み物として楽しいのである。

幾つか特徴があるけど、まずはブドウの品種をキャラクター化していること。まあ、「優等生」「やんちゃ」くらいの比喩はあるが、この本は徹底している。そして、ちゃんと絵になっているので、ところどころにコミックでショートストーリーが挟み込まれる。

カベルネ・ソーヴィニヨンが優等生の男子で、シャルドネが人懐こいみんなのアイドル、という辺りはまあありそうだが、ミュスカデが「いつも服が汚れているさわやかドジ男」だったり、ジンファンデルが「ダイナミックで気のいいアネゴ肌」というところまで徹底しているのがすごい。

というか、この手のキャラがダメだったら、もうこの本には馴染めないと思うが、僕はスッとわかった。優等生のカベルネが米国にわたって、マッチョになったりするのもおかしい。まあ、マイナーな品種になるとちょっと大変そうにも見えるけれど。 >> 想像以上の入門書「ワイン一年生」の続きを読む



41EjxS4V4xL3日にわたる世界史本あれこれだが、まとめの話と、少し昔の本について。

いろいろとあげてきたが、この15年ほどの「世界史本」は、ダイヤモンドの『銃・病原菌・鉄』のインパクトが起点になっていると思う。

そして、いろいろあげた中で「どれから読むか?」という話になる。これだけの量のモノを片っ端から読むくらいなら、もう少しバランスよく、いろんな本を読んだ方がいいだろうし、ハードカーバーで高価な本も多い。

そうなると、既に文庫本になっていて、ある程度とっつきやすいモノから行くというのもありだろう。

つまり『銃・病原菌・鉄』『繁栄』『「豊かさ」の誕生』あたりだろうか。『国家はなぜ衰退するのか』もいいのだが、訳がこなれていないこともあって、いきなりはきついかもしれない。

また、図書館で借りてようすを伺ってから、順に取り組むのもありだろう。ただし、忙しい人にとって、借り出し期間中の読了は難しいだろうし、読むなら購入して鉛筆なりポストイットなり、自分のやり方で読み込むことをすすめたい。

また、歴史の本はすべての事象を網羅的に扱えるわけではないし、それぞれの著者の知識にも限界がある。したがって、どんな大作にもケチをつけるのは簡単だ。

「○○についての記述が足りない」「××についての考察が浅い」などというレビューを書くことは、実は誰にもできるのだ。今回は一冊ごとに詳細な紹介をしてないので、ネットのレビューなどを見ることもあるだろうが、その辺りを踏まえた上で取り組むといいと思う。

また、今回紹介した本は、すべて英米系の研究者によるものだ。ここまでガッチリと腰の据えた研究は日本では難しいのかもしれない。

ただし、日本人が「歴史の仕組み」に取り組んだユニークな本も当然ある。まずは、この辺りを読んでから、いろいろと広げていくのもいいだろう。 >> もうちょっと、世界史の本について。の続きを読む



(2016年3月21日)

カテゴリ:読んでみた

81iic2agKkLそれにしても、歴史の本を紹介するのは想像以上にタフな仕事であることもわかってきた。

で、昨年に邦訳の出た本の話になるのだが、これらには共通点があって原著が結構古いのだ。その辺りの事情などを踏まえつつ、紹介しておこう。

まずは、その名もシンプルに『世界史』(楽工社)で、ウィリアム・マクニールと、ジョン・マクニール父子による著作だ。原著の出版は2003年なので86歳と49歳の親子の共作ということになる。

ウィリアムは「世界史」(中公文庫)が広く読まれているが、この本の原題は”The Human Web”で、つまり「人と人をつなぐシュシュの結びつき=ウェブ」という視点で世界史を読み解こうというものだ。副題の「人類の結びつきと相互作用の歴史」が表すとおりである。

この発想はシンプルだが、頼りになる手がかりで、理解はスムーズにすすむ。ただ、近年の世界史本を読んだ後だと、既視感があることもたしかだ。もっと、早く訳が出ていたら日本でも話題になったかもしれない。

また、シカゴ大学のポメランツによる『大分岐』(名古屋大学出版会)は2000年の出版だから、15年後の邦訳ということになる。副題に「中国、ヨーロッパ、そして近代世界経済の形成」とあるが、19世紀後半からの西欧の経済発展はどこから「分岐」が始まったのかという問題意識である。

昨日に紹介した『人類5万年 文明の興亡』を連想するが、こちらは2010年に書かれており(邦訳は2014年)、ポメランツへの言及もたびたびおこなわれている。

ただし、この『大分岐』は相当に手ごわい。本論は300頁あまりだが、補論が40頁ほど加わり、注釈と参考文献で100ページ近くある。 >> いま世界史の本がおもしろい③の続きを読む



(2016年3月20日)

カテゴリ:読んでみた

51xZgZQcMaLというわけで、「世界史の本」についての2日目だが、まずは『人類5万年 文明の興亡』(筑摩書房)から。イアン・モリスは英国生まれでスタンフォード大学の歴史学者。邦訳は2014年で、帯には、「銃・病原菌・鉄を超える」と謳われている。

で、帯裏にはその著者のダイヤモンドが推薦文を書いているのは「国家はなぜ衰退するのか」と同じだ。やはり、このカテゴリーは「銃・病原菌・鉄」のインパクトが強く、そうした読者をターゲットに芋づる式に狙っていこうという戦略なのだろう。

というか、僕は見事に引っかかっているんだけど。

これは「なぜ西洋が世界を支配しているのか」というサブタイトルがあるように、西洋と東洋の文明発展の比較に主眼がある。この本のユニークなところは「社会発展指数」という基準で評価をしていることだ。

それによると、古代から西洋がリードを広げるが7世紀には東洋が「逆転」し、大航海時代から産業革命を経て西洋が「逆転」して、未来に向かって東洋がさらに伸びていって…という見通しが語られる。

この指数は「エネルギー獲得量」「都市化」「情報技術」「戦争遂行力」の4つの特性から分析されるが、ここに異議を唱えるとすべての前提は変わってしまう。とはいえ、読者に代案が出せるわけでもなく、まずは読んでみれば早々の納得感はある。

分析フレームの勉強にはなるのだが、この本は上下で7000円を超える。この辺りが、いま一つ日本で話題にならなかった理由の1つかもしれない。 >> いま世界史の本がおもしろい②の続きを読む



51d1GOBPsnL小説のコミック化はいろいろとあるが、池波正太郎は結構多いのではないだろうか。

さいとう・たかをの作画によるコミックは見たことがある人も多いだろう。

昔ながらの中華料理屋で、漫画アクションなどと一緒に油がまみれているソフトカバーのイメージだろうか。あと、コンビニなどでも思いだしたように「傑作選」のようなものが売られている。

池波正太郎の作品は相当読んだが、コミックを買ったことはなかった。鬼平犯科帳もやはり、さいとうプロの作品なので、“あの人”のイメージが強い。ページをめくった途端に、悪党の眉間が撃ち抜かれているような気がして、どうも馴染めない。

そもそも、さいとうたかをの作画は西洋人を描くのに向いている気もする。人間の体が三次元で捉えられていて、どこかガッチリして、ミッチリとしている。

剣客商売もさいとうプロがコミック化しているが、そんな理由もあって何となく敬遠していた。ところが一昨月に訪れた奈良田の宿の本棚にあった「剣客商売」のコミックがなかなかいい。

作画は大島やすいちだが、画風は穏やかで違和感がない。というよりも、スッと世界に入っていける。調べてみると、さいとう・たかをは1998年から翌年にかけての連載で新刊5巻。大島やすいちは2008年からの連載で23巻まで出ている。どちらもリイド社だ。

この大島版は、困ったことにkindleでも読める。何が困るって、するする読めるのでズイズイとダウンロードして止まらない。じゃあ読めばいいのだろうけど、少しずつ読みたいので悩ましい。しかも、コミックで読み直していると、小説を再読したくなる。 >> 【本の話】江戸の空気感が漂う、コミック版「剣客商売」。の続きを読む