料理作りは仕事に役立つと思う3つの理由。
(2016年2月22日)

カテゴリ:キャリアのことも

何でもかんでも、「仕事に役立つ」という話にするのは野暮で嫌いだし、「*つの理由」とかいうタイトルも陳腐化していて嫌なんだけど、まあたまには書いてみようか。「~べき理由」にはしないけどね、さすがに。

で、僕は料理をする。まあ、クックパッドは使わない。理由はこちらに。そして学生や若手の社会人が料理をするというと、奨めることにする。会社員の頃、トレーナーをやっていた時もそうしていた。

で、理由は3つある。

まず、物事の手順や段取りを覚えるのに役立つ。沸かした湯で野菜を茹でるなら、先に火をつけてから野菜を切る。幾つか作るなら、まず時間がかかって、ある程度放っておける煮物に手をつける。手早く炒めるなら、先に調味料を手元に揃える。とかそういう類の話。

仕事でも、朝一番に予定伺いのメールを送っておいて、返事が来るまでの間に段取り進めるとか、そうした基本動作に近いことと同じ。

次に、料理というのは九割九分ロジックで決まる。おいしいか、おいしくないかは、どこかに原因がある。それは、素材か、調理か、あるいは気候か……などなど。特に調理のルールには、その背景に理屈があるのだ。

たとえばパスタのソースと麺の太さには一定の相性がある。

ペペロンチーノのようにオイルだけであえるものは細い麺がいいし、ねっとりしたソースなら太い方がいい。これには合理的な理由があって、一定の大きさ以上の昆虫が存在しない理由や、小さな釜でご飯をおいしく炊くのが難しい理由などと背景は同じだ。

仕事をする上でロジックを大切なのはあたりまえだ。ただ、未だに「理屈っぽい」と拒絶反応を示す人がいる。実は平時のビジネスではそれほど理屈はいらない。ロジックが重要になるのは、うまくいかない時の原因究明と打開策を考える時だ。

だから「何となくうまくやってきた人」ほど、逆風に弱い。プレイヤーとしてうまくやってきた人がマネジメントで失敗する理由の多くはここにある。

最後の理由は、「偶然性の大切さ」を知ることができるということ。ロジックが殆どとはいえ、予想がつかない上出来の料理ができる時は、何らかの偶然性に左右されていることがある。

一頃、市販の調味料やルーを使わず、スパイスをたくさん揃えてカレーを作っていたことがあった。ある時にとてもうまくいったのだが、よく振り返ってみると材料を買い忘れて途中で火を落としたからではないか?ということに気づいた。

つまり、一度冷ました間に味が深くなったらしい。ただ、これが再現できない。もし料理屋を開くなら、そこを突き詰めるだろうし、だとすれば時間や温度など、結局はロジックに帰結する。しかし、素人ならその偶然を楽しんだ方がいいだろう。

手順・ロジックをしっかりしながら、たまには偶然性を大切にする。ほら、そういう仕事の仕方ってなんかいいじゃない。

ああ、今日はもっともらしいことを書いてしまった。