武道館は「参拝」で、大相撲中継は「神の視座」だった。
(2016年9月25日)

カテゴリ:世の中いろいろ
タグ: ,

img_1925先日久しぶりに武道館に行った。もう何十年ぶりか、という感じだったが歳をとると見るところが違うものだ。

南2階席に入った途端に、いきなり妙なことに気づく。

正面に「日の丸」が、見下ろすように掲げられているのだけど、「あ、これは参拝なんだ」と感じた。

武道館の日の丸は、どのようなイベントでも掲げられているが南を向いている。そして、舞台は北に設営される。

つまり、客は日の丸とアーチストをともに見るのだけど、これは「拝む」ことにもなる。多くの神社の本殿は南に向いているが、武道館の方位はそれと同じなのだ。設計に際しては方位にこだわったのだろう。座席ゾーンの名称が方位になっているのは必然となる。

ちなみに、南に向かない場合は東向きとなる。すぐ近くの靖国神社がそうだ。

ただ、地図で見ると靖国神社の参道はやや北向きだし、武道館も真北を向いてはいない。その結果、武道館の南北軸と靖国神社の参道が90度になっているように見えるのだけれど、意図的なのだろうか?

そんなことを考えつつ、ふと思ったのだが、テレビで観る相撲はどうだっただろう?あまり観ることはないのだが、たしか左側が東のはずだ。

調べて確認すると、「貴人は南面する」という考え方なので、これは神社と同じ。そのため力士の土俵入りなどは当然北を向く。

テレビカメラは、その位置におかれるので、私たちは家にいながら「神の視座」で相撲を見ることになるのだ。もちろん天覧相撲の貴賓席も北の正面だ。

武道館の公演は、アーチストが神の方位にいて、私たちは彼らを拝む。クイーンのコンサートだと、正面スクリーンにフレディ・マーキュリーが映し出された時などは、まさに「参拝」だったのだなあ。

そして、何気なく見ている相撲は、誰が見ようと玉座からの眺めということか。そう考えると土俵入りなどの意味合いも、あらためてわかる。

それにしても東西南北、奥が深い。そして、靖国と武道館の角度のことだけど、本当などうなんだろうか?