就活は温泉めぐりじゃないって。
(2010年5月5日)

カテゴリ:キャリアのことも
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コメント(2)

連休中にホームページ経由で、知らない大学生からメールが届いた。
来春から、大手広告代理店に勤めることに決まったらしい。複数社から内定をもらったそうだ。
メールの内容は、広告費についてのリポートの感想、および質問。質問の内容は、配属希望についてだった。少々気が早いかもしれないが、まあ気にするのはわかる。ただ、こんんな表現だった。
「一番刺激を受けられるクライアントはどこでしょうか?」
さて、既に社会人として働かれている方だったらどのように答えますか?あなたが学生だったら、どんな答えを予想しますか?
僕の回答はカンタン。「”刺激を受けられるクライアント”という発想自体を捨てること。どのクライアントに対しても”刺激を与える”のが君たちの仕事」。
その発想で、一年後まで世の中を見ていくように。それが僕の答えだった。
そこで、ふと思ったのだけれど、ここ何年か就活学生と話をすると「自分が成長できる環境」という言葉を聞くことが多かった。


「自分がより成長できると考えて御社を第一志望と考えてます」
自分が面接官だったら、こういう学生は全部落とすかも。だって、社員というのは企業を「成長させる」のが仕事なんだから。君が成長できるかどうかは、君の課題に過ぎないわけで。
でも、この180°の勘違いを作ったのは、企業側のメッセージに原因があるように思う。2005年頃から売り手市場になった時期に、多くの企業は「社員教育」や「育成のための制度」を売りものにした。「うちに来れば成長できるよ」というメッセージが、ある時期溢れていたのだ。
というわけで、学生は「自分が成長できる環境」を探すようになったのだろう。
しかし。就活は温泉めぐりじゃないんだから。より気持ちいいところを見つけられてても、ふやけるだけでしょ。今年みたいに厳しい環境になっても、まだ温泉めぐりの気分が抜けない学生が多いようだが、彼らの苦戦は必至だ。一方、「自分がどうにかする」という意気の学生はきちんと結果を出している。
「とっとと働け」会社案内の表紙に、こんなこと書く会社があってもいいのに。だってそれが仕事なんだから。



就活は温泉めぐりじゃないって。」への2件のフィードバック

  1. Z会寺西 より:

    「自分が成長できる環境を」
    うん、僕が就活時(1994年~6年、なぜか3年間。笑)もきっと言っていたと思いますね。今考えるとアホかと思いますけど。

    ただ、自分の中に「俺が会社を作っていくぜい」みたいな、ナマイキな気持ちも同居してました。なので「会社にまかれる」って感覚もなかったですね。単に表現の仕方を知らなかった(知識を知らない、と言う意味での)バカだっただけで。

    山本さんが指摘される本質的なバカ(なにそれ。笑)って、「会社が自分の成長を導いてくれる」って姿勢の人間ですよね。
    これは論外で、企業もまず落すでしょうね。

    一方

    ・本質的には自分で成長しようと思っている
    ・ただその成長を「自分では超えられない」外部環境で必要以上に押しとどめられるのはヤダっ

    って学生もいらっしゃるかと思います。恐らく僕がそうでした。が、繰り返しになりますが、表現の仕方を知らない愚か者だっただけで。

    で、僕のような学生さんの場合、会社にとっても貴重になるんですよね(自分で言うな。笑)
    ほっとかれても自分で課題見つけて解決しようと試みるし、一方でそういうことを許してくれる会社に対してものすごい感謝の気持ちを持ち、成果という形になるものを見せていこうと(給料アップとかそういう微視的な視点ではなく)DNA的に考えていこうとしちゃいますので。

    「会社」という枠を考えない「自分で成長していくぜっ」ってタイプもまた、たまに「自分勝手」の領域に進み社会性を伴わない場合もありますから、注意が必要ですねw
    でも「会社に成長させてもらえる」的思考よりよほどマシですけど。

  2. 山本直人 より:

    コメントありがとうございます。
    「自分が成長できる」という発想自体は間違っていない、というか、ある意味自然だと思うんです。
    ただ「何をもって貢献するか」というのが抜けていることが結構多いな、と思ってます。
    企業側が「こっちにくればいいことあるよ」と見せるのはある意味マーケティングの一つなので、それはそれでありだとは思うんです。それとは別に「とっとと働け」というのは、教育に関わる問題であって、企業というより大人全体の課題でしょう。
    だから大学の教室や、会いに来た学生に対してはビシッというようにしています。