「にゃらん」は泣いているよ。
(2010年12月14日)

カテゴリ:マーケティング
タグ: ,
コメント(2)

「じゃらん」の手数料値上げの件がもつれている。最近、宿泊団体も要望書を出したという。このニュースによるとじゃらんネットのポイントを他サイトと共通化する中で、ポイント付与時に旅館やホテルがリクルート側にポイント付与分を支払い、使用時に宿泊施設に支払うというものだ。
いわばポイント分を宿泊施設側が前払いするわけだが、このポイントをユーザーがホットペッパーで使うかもしれず、結局手数料の「値上げ」という形で報じられた。その後箱根の宿泊施設と「団交」のようなこともおこなわれて、かなりもつれている。
先の記事にはこうある「2人以上1室利用では現行の8%が10%に、シングルではシステム利用料率自体の引き上げと合わせて4%から8%に倍増させる。3万円のシングルプランをじゃらんネットを通じて販売した場合、リクルートに支払う手数料が従来の1200円から2400円となる。」
リクルートの、このビジネススタイルを、どう捉えればいいのだろうか。この方のブログで書かれているように、宿泊施設側にも怠慢だった部分もあるだろう。ただし、僕はこの一件について、リクルートの方法論に疑問と寂しさを感じている。


契約条件の変更というのは、別に商取引上普通のことだ。「嫌ならやめる」で済む話なので、値上げがいやならやめればいい。ただし、1ユーザーの本音としていえば、僕は自分の払ったお金はできるだけ、宿泊施設に渡したいと思っている。
宿泊をして、そこでサービスを受けて食事をいただいたりしたのだから、そのリアルな現場で汗を流す人にお金を払いたいのが当然だ。
もちろん、情報を提供するビジネスがそれなりの収入を得るのは当然だけれど、それで肝心のサービスを提供する現場が苦しむというのはおかしい。
この一件、正しいとか間違っているとかの問題でいえば、別にリクルートは悪いことはしていない。
しかし、志が低いのではないか。
かつて同社で数々の雑誌を創刊させたくらたまなぶ氏は、「エイビーロード」創刊の苦労話を書かれている。既得権益を侵されることを嫌った大手旅行代理店は参加せず、彼は目の前で名刺を破られたという。
しかし、そこには消費者と中小事業者の視点に立った志があった。
手数料が倍にするケースもあるわけだが、いまどきどの業界でも販売価格を倍にするわけはないだろう。それがコミッション・ビジネスのうまみである。販売総額の一部をいただくので大幅な値上げができることもある。しかし、それらは真水として仲介者の利益になる。
でも、ユーザーは、本当に自分を満足させてくれた事業者にできるだけお金を払いたい。しかし、情報提供ビジネスばかりが肥大して、付加価値を提供している事業者が苦しむというのは、今回の件に限らずこれから大きな問題になると思う。
僕は、そうやって現場を苦しませるようなビジネスに加担したくない。
もう、じゃらんは使わない。と書いて思ったのだが、もともと使っていなかった。じゃらんも楽天も。
しかし、問題は「にゃらん」だ。あの猫はかわいい。CMも秀逸だ。待ち受けだって「にゃらん」だ。でも、猫に罪はない。
にゃらんが泣いているよ。まったく。



「にゃらん」は泣いているよ。」への2件のフィードバック

  1. takeshi より:

    他にも似たような状況のサイトはたくさんありますが、改めてリクルートさん「エグい」ことしてますね。
    でも、猫に罪はありませんね(笑)
    そこまで考えての猫起用ですかね?

  2. 山本直人 より:

    コメントありがとうございます。
    で、結局「にゃらん」の携帯着せ替え「クリスマス編」ダウンロードしたりして。まあ、猫はネコだし。