学歴と就活の秘かな関係。
(2010年10月7日)

カテゴリ:キャリアのことも
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就職活動で必ず話題になるのが、「大学フィルター」の話である。
エントリーの時点で、学校によって「分類」されているのでは?という疑問は学生の間では根強い。ただし、実際の経過を見ると「収まるべきところに収まる」という感覚になる。それでも、大学の難易度と有名企業の内定者数はある程度比例していることも事実だ。
そこで勘違いされるのは「勉強のできる学生は本当に社会人として”優秀”なのか?」という、これまた繰り返される疑問だ。
こういうことって、現役の人事は決して言わないはずなのだけれど、重要な問題ではある。
僕の考えを言うと「勉強ができたか」はまあどうでもいい。ただし「受験で一定の成果をあげたか」ということと、就職活動で求められることは結構似ているということである。
受験で大切なことは、個々の科目の得点が高いことだろうか?それは結果としてはその通りである。しかし、それとは別個の能力が要求される。
まず、自分自身の適性や能力を冷静に見極める「自己分析能力」
また、限られた時間の中でものごとを進行させていく「計画性」
さらに、”このことをきっと成し遂げるぞ”という「達成志向性」
そして、いろいろな遊びや活動とのバランスをとっていく「自己管理能力」
こうしたコンピテンシーは、社会人においてもきわめて大切なものなのだ。つまり、「受験というプロジェクト」で一定の成果を挙げた人は、18歳の段階で社会人としての基礎能力を鍛えていることになる。


だから大学の成績がいいこととい就活はあまり関係ない。それよりも、限られた時間でサークル活動をして、遊んで、バイトして、なおかつある程度のレベルで単位をクリアした学生の方が「プロジェクト達成力」が高いとみなされるのだ。
高偏差値の大学に所属していても就職がサッパリという学生は、こうした「プロジェクト達成力」が弱い。
ここに来て、特定の学生に複数社の内定が集中する傾向が強まっている。結構な大手が5月以降も内定者の確保に躍起だったり、秋採用をおこなっているが、想像外の重複辞退が発生したようだ。
これは、業界を超えて「プロジェクト人材」に内定が集中したからだと思っている。変革期には、採用側も「自社にはいない人材」とか考えるからこういことになるのだ。
つまり、現在所属している大学の水準に関係なく、自分自身の「プロジェクト」を達成ないしはトライした経験をもとに自分自身をアピールすれば就活で一定の成果は期待できる。じゃあ、今までそういう経験が薄い学生はどうするのか?それは、この就活自体を「プロジェクト」とみなして、徹底的に取り組むしかない。先行している学生に追いつくには少々時間がかかることもあるけれど、やや遅めでも内定をとっていく学生はいる。
結果として生じる「大学フィルター」の本質を理解すれば、妙な噂に振り回されず、学校名に関係なく冷静な就活ができるはずである。