学生は新聞を読むべきか。
(2013年10月21日)

カテゴリ:キャリアのことも
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このブログのタイトルに対して「もちろん」という人はどんどん少数派になっていると思う。僕も「読むべき」とは言い切ってない。じゃあネットのニュースで足りるのか、というとどうも足りてないように思える。
もっとも新聞離れというのは今に始まったことではなくて、いまの50代の行為者率も5割を切っている。(こちらのページが参考になる)「新聞がなくても事足りる」というのは、僕の同年代にも結構いた。ただしテレビ欄がないのが不便なので、その代わり職場で生保が配っていた「ザ・テレビジョン」を重宝していたりしたのだ。
いまやネットが中心になってこの傾向はますます加速してる。
それによって、情報がどんどん偏っているんじゃないか?というのは他の先生とも近年のテーマになっている。就活が始まった頃に、この情報バランスの悪さが「世間知らず」な空気感に直結するのである。これだけで就活が不利になるのは、何とももったいない。
で、今年の前期の講義でこんなテーマのレポートを課した。
「ネットのニュースだけでいいのか」「新聞・雑誌などを読んだ方がいいか」というテーマで、どちらか自分の考えに近い方を選んで立論をさせたのだ。
結論から言うと、8割が後者を選ぶ。大学生も、「ネットだけではやばいだろう」とは感じているのだ。
そのもっとも大きな理由は、「好きな情報ばかりに接するから」というのが、もっとも多い。これは、僕たちの問題意識と同じだ。最近では永江一石さんが、こちらのブログにも書いている。つまり「情報偏食」とでもいうべき問題だと思っていて、的確な指摘だと思う。
偏食が体に良くないことはわかっている。ただし、偏食にはある程度の心地よさがある。また、学生に影響力のある若い経営者などが「新聞(マスメディア)不要論」を唱えると、「そっかネットだけでいいんだ」と思ったりする学生もたまにいるようだ。


ただ、それは「イチローとカレー」「内村航平とブラックサンダー」みたいなもので、フツーに考えて偏食がよくないことは知っているように、多くの学生は情報についても同様に感じているようだった。(イチローは最近そうめんという話もあるようだが)。
とはいっても、学生に「新聞を読みなさい」と言い切れないのは、当然に理由がある。それは、先のレポートの残りの2割にヒントがある。
「先生、日立と三菱重工はいつ経営統合するんですか?」
もし2年前の今ごろに、こういう質問されたら相当に困ったと思う。つまり情報信頼性の問題なのだ。
マスメディアに一定の誤報はある。だから訂正もある。でも、「あえておカネを払って入手する情報」に対しての視線はどんどん厳しくなっている。
「情報への対価」の心理は送り手と受け手で相当に異なっていると思うのだ。(このお話、明日に続きます)