今年の就活もどんどん進行しているようで、内定を出しているところも多いし、大手では面接が本格的に始まっているようだ。

話を聞いてて気づいたんだけど、企業が「求める人材」って大きく変わらないんだけど、就活の「ツボ」みたいなのはジワジワ変化している。

最近で言うと「学生自体に挫折から立ち直った経緯」というのが、段々と薄まっている。というか、そもそもESに「挫折体験」を書かせている企業があったのも不思議な話だ。

そもそも、ESなどで「挫折体験」が入ってきた経緯というのも、何とも日本らしい“予備校文化”のおかげだと思っている。

既に十数年前から「挫折体験」を持っている学生というのは、採用側としては狙い目だった。体育会の学生でも、単に強ければいいというわけではない。レギュラーになれないで、下積みや裏方をやっている方が、社会人的には「あり」だったわけだ。

それが、段々とポピュラーになった。これは

①ESで達成体験を書かせるようになる→②みんな同じになる→③一度挫折してからの取り組みを書きましょう

ということがマニュアル化されて、そこでESに挫折体験を書かせるようになってしまったのだ。

ところが、これがまた同じになる。そりゃそうだ。今の教育システムと社会の中で、大学を出ようとしているのだから挫折と言ってもそんな劇的な話はない。かといって、恋愛の話書かれても困るし、書く方も嫌だと思うし。

それより最大の問題は、選考の本来の目的がすっ飛んだこと。

>> 就活に「挫折体験」はいらないと思う。の続きを読む



ライフネット生命COOの岩瀬氏大輔氏がブログで「毎朝、定時より30分前にきっちりした身なりで出社し、新聞を読んでなさい」と書いたら、結構話題になったらしい。

ある意味で、ものすごくクラシックな響きがするし、ネット上では否定的な意見も多いようだ。

まあ、この3点セットが一緒になるととても古臭いように聞こえるかもしれないが、要は「社会人としてキッチリ行動しろ」ということと、「バランスよく情報感度をみがけ」と言ってるわけだ。

前者については、何分前に来るか?とかはそれぞれ考えればいい話なので書かないけど、後者についていうと、新社会人はとりあえず新聞読んでおいた方がいいと思うようになった。

実は2002年頃から会社で新人研修やってた時は、「別に高いカネ出して新聞読まなくてもいいんじゃないか」くらいに思ってた。ちょうどネットのニュースがひろまり始めてたし、新聞のバイアスがかえって気になってたからだ。

では、最近になって新聞を見直したか?というと実はここ最近新聞メディアは結構よくなったように思うからだ。

まず、電子版が使いやすくなった。僕は基本的に紙はやめているけれど、その使い勝手は相当よくなってきた。特に保存機能はかなり有用だし、オリジナルの記事もある。

また、ネットによって新聞記事へのチェック機能も働くようになってきた。新聞が愚かな企画などをすれば、すぐに批判される。

その一方で、ネットメディアの技術発達は「その個人に最適な情報」をカスタマイズする方向で進化した。SNSなども同じで「関心のあること」はどんどん詳しくなれるが、バランスは悪くなる。

ただ、新聞のネット版も妙にアクセスを稼ごうという傾向を感じる。読売オンラインに目立つんだけど「サンクス全店ローソンにくら替えする県」みたいに、見出しがなぞなぞみたいになっていることが多い。これはたしかにクリックしたくなるので、アクセスを稼ぐにはいいかもしれないが、「読みたい記事を取捨する」という見出しの機能を放棄していると思う。

そうなると、最近見直したのは「紙面そのままをタブレット」という読み方だ。ウェブ版に比べて、見出しの大小などがわかる。それを新聞社の誘導といえばそれまでだが、問題はそれが一定の影響力を持っているということだ。新人が「自分より大人の視点」を知ることは、まずは良手だろう。しばらく読んで、価格相応の価値がないと思えばやめればいい。

「型より入り、型より出でよ」という言葉がある。日本では画一教育を批判するあまり「個性的でなくて大丈夫だろうか症候群」も強い。とりあえず「型に入る」という意味では、朝早く行って、新聞読むくらいはちょうどいいんじゃないだろうか。そこから、「どう出るか」というところからが本当の競争なんだから。

それにしても、日経はあの真ん中の市況欄、いつまで載せるんだろうか。ああいうのって「新聞って古いよな」と思わせる原因の一つになってる気もするけどね。



毎年、親しくなった何名かの学生が巣立つ姿を見ている。以前から大体、似たような言葉をかけて来たので、書き留めておこうと思う。

自分が社会に出る前は、とても不安だったことを覚えている。まあ、どうにかなったけれど、最初の週末が本当に待ち遠しかった。在籍中に新人研修をしていたが、必ず気にしていたのは、「4月1日が何曜日か」ということだ。月曜だったりすると、最初の1週間が結構しんどい。かといって、金曜だと、翌週につけがくる。今年は火曜だから、結構長めの一週間になるのだろう。

僕のことを思い出すと、3月31日の心境は、「プールから海へ」という不安だった。学生までは、いくら大変なことがあったとしても、頼るところはたくさんあった。つまり、プールで泳いでいるようなものだ。それがわかっていたからこそ、海へ出る不安は大きかった。

ところが、実際に社会へ出て半年もすると、意外なことがわかる。海といっても、ちょっと休めるところは思いのほか多い。それは社内の人の支えだったり、旧い友人との付き合いだったり、さまざまだ。

そのうちに、少しくらい休むところがなくても、遠泳できるようになっていく。それは、社会人としての「精神的体力」だと思う。

もちろん、企業や業界によって海の荒れ方は違う。もちろん、社会に適応できない人もいるだろう。

そうした人々の原因はさまざまだけれど、結構多いのが「とにかく休まず泳ぎ続けよう」という気負いが強すぎることだ。

4月1日を迎えたからといって、いきなり変わろうと焦ることもない。プールで学んだ泳ぎ方で、ゆっくりと海に出ればいいと思う。

間もなく入社10年を迎える友人が、学生に言ってた言葉が面白かったので、最後に紹介しておこう。

「社会人だからって、大したことないよ。この間まで、Tシャツ着て酒飲んでゲロ吐いてた奴が、スーツにネクタイで酒飲んでゲロ吐いてるだけだから」

何だかよくわからないけど、そういうものかもいしれない。健闘を祈る。



毎年のように、就活している学生からの相談を受ける。僕にとって、それはビジネスとは全く無縁だ。でも、就活がビジネスになることも事実だ。でも、そこには“志”があってほしいと思う。

その志とは、「学生と企業に最適の出会いを提供する」ことで、そんなの当り前だと多くの人は思うだろう。でも、最近の就活ビジネスは、もうそんな志なんかどこかにいってしまったのだろうか。

リクルートが「リクナビ」のトップ画面が、こんなことになっていると聞いて、ちょっと愕然とした。本当かなと思って学生に尋ねたら本当らしい。

一言でいえば、「もっとES出さないと内定とれないよ」と学生を煽っているということだ。

リクルートのビジネスは、多くの人々に情報を提供することで、さまざまな選択を効率化させた。そのプラス面は多いと思うが、いまリクナビがやっていることは学生を痛めつけるだけだと思う。

どのくらいエントリーをするべきか?と学生に聞かれることは多いが、ここに正解はない。ただし、あまりに多いと確実に疲弊する。ESを書く労力はかなりのものだ。だから、やたらと「数」を煽るのはよくない。それは、単純に考えてもすぐわかる。これについては、以前ここに書いた。

しかし、なぜリクナビがそんなことするのか?といえば、そこには焦りがあるからなんだろうと思う。企業はリクルートなどにカネを払って採用広報をしている。そして、自社のエントリー数を気にするし、エントリーが少なければ、リクルートへの風当たりも出てくる。

>> なぜリクナビは就活生を追い詰めるの?の続きを読む



そりゃ、やっぱりという感じもあるけれど、大学生の読書時間に関するニュースが話題になっている。

毎年やっている大学生協の調査なのだが、今年は「読書時間ゼロ」が初めて4割を超えたということが、「ついに」という感じではある。ただ、概要報告のページを見ていただければわかるのだが、この10年の傾向だと、「男子の平均読書時間は28分~35分の間を上下しているが、女子は04年の31.6分から13年の24.3分にまで緩やかに減少が続いている」

(太字引用)ということらしい。

こういう調査では「ゼロ」と答える人が多くなると、全体の数字がググッと減る。もしかすると「読んでる人」に限れば、もう少し別の面が見えるかもしれないが、概要報告からは、よくわからない。

いずれにせよ、この話で一番の“犯人”はスマホのようだ。ただ、ニュースにある大学生協のコメントのように「おカネ」の話も大きいと思う。

同じ調査では仕送り金額も調査しているが、これもまた右下がりだ。

で、あまり指摘する人がいないけど、僕が気にしているのは本の価格だ。

>> 本を読まない学生と、スマホのせいにする大人と。の続きを読む