コメダの隆盛を10年前に見抜いていた先輩。
(2016年4月21日)

カテゴリ:マーケティング

自宅近くにコメダ珈琲がオープンして、2年ほどになるが相当賑わっている。出店も増加しているようだが「フルサービス」が受けたとか、まあいろんな分析がされている。

そんな中で、ふと思い出したのが10年以上前に会社の先輩と話していたことだ。僕が会社を辞める直前だから、2004年くらいだろう。

とても才覚のあるマーケティングのプロフェッショナルの方だが、「実際に街を歩く/売り場を見る」ことの重要性を指摘し続けていた。

ネット上では「売れないものは見えにくい」と僕が話したときにこんなことを言われた。

「知らない街に行ったり、都内でもちょっと時間つぶすときとかは、“流行ってなさそうな店”に行くんだよな。」

つまり個人経営の小さな喫茶店で、決してチェーン店にはいかないという。僕も同じように思っていた。その方が、面白みもあるし、意外においしいものがあったりもする。

ただ、その先輩の洞察は深かった。

いろいろと見ていると、「実は流行ってる」のではないかという。常連客が結構いることも多い。ただ、客も店主も相当歳をとっているので、これからはどんどん店が減るだろう。

だから「そうした客の受け皿になる店が必要になるんじゃないか」とおっしゃってた。

実は、こうした個人店が減少していくと、決まったように「チェーン店におされて」というような流れでトピックになる。

たしかに、そうした面もあるけれど、店主が高齢化して店を閉じるケースも相当多い。彼に指摘されてから、いろんな個人店の状況を見てきた範囲で言うと、それなりに繁盛しているのに閉店、という方が多いと思う。

つくづく思うのは、「現場の情報量は濃い」ということだ。

この間、「おそ松さん展」をやっている現場にたまたま居合わせた。会場の外で行列をしているのは、やはり女性ばかりだったが「リアルおそ松ファン」の情報量はやっぱりすごい。まあ、どうすごいかは書かないけれど。

というように喫茶店の客を見ていくとコメダが発掘したのは、眠っていた顧客、行き場を失っていた人だったということだ。

それを10年以上前に、的確に見ていた眼力はあらためて素晴らしいと思うし、情報ばかりが増えても戦略を誤ってしまう理由もここにあるのだろう。

マーケターは、流行りものを知りつつも、流行りものだけに乗ってはいけないんだな、ということを改めて感じる。