第一回「藤波重彦能の会」
(2016年6月17日)

カテゴリ:見聞きした

IMG_1718第一回 藤波重彦能の会

仕舞「高砂」 藤波重孝

仕舞「天鼓」 下平克宏

狂言「鬼瓦」 山本則孝 山本泰太郎

仕舞「松風」 観世清和

能 「望月」 藤波重彦 森常好 坂口貴信 藤波重光 山本泰太郎 他

 2016年6月16日(木)18:00 セルリアンタワー能楽堂

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初めにお断りしておくと、今日のブログは批評ではなく個人的な記録だ。

自らの会を初めて催す藤波重彦さんは、大学の一期下の後輩にあたる。一学年何千もいる私学だが、おなじサークルだった。

ワグネル・ソサィエティ・オーケストラという団体で、彼はトランペットを演奏していた。僕はホルンだったので、比較的近かったこともあり、昨夜はその当時の友人と連れ立って出かけることになった。

藤波さんとは、卒業後ずっと疎遠だった。

最近になって、僕が能を見に行くようになって名前を目にして、「あっ」と思い出した。そういえば、彼はそうした家の生まれだったはずだ。

今春に連絡を取って、再会した。その際に、「藤波重彦の会」を催すことを聞き、この日になった。30年経って、こうした縁にあずかることができたのだ。

「望月」は、仇討の物語であるが、子方の役どころも要となる。長男の重光さんも、そろそろ子方を卒業する歳というだ。

そして、二人がこの会をどれほど大切に思っているかが、ヒシヒシと伝わってくる。望月の結末にいたる感動は、いわゆる観劇とはまったく異なるものだった。

公演を観るのではなく、一つの儀に立ち会わせていただいたという感覚だろうか。

今回、こうして記録を残したのには理由がある。

藤波さんは、デジタルとは疎遠な生活を送っているようで、インターネットには全く触れていないらしい。

再会にあたって、事務局気付けで手紙を出し、携帯からキャリアメールをもらったくらいだ。代わって、というのはおこがましいとは思うが、何らかの形でデジタル空間上に記録を残しておきたいと思ったのだ。

能の世界は、いろいろな意味でデジタルとはもっとも遠い。静かなままであってほしいと願うが、重彦さん・重光さん親子の記念のためにもこうして記録をとどめておこうと思う。

これからも、お二人が素晴らしい活動を長く続けていくことを願っている。