「業界人」という表現があって、マスコミや広告業界、あるいは芸能界辺りのイメージだったのだろうか。いわゆる「業界ことば」といえば、その辺りの業界を指すわけで、なんとなく一般化した。

「パイセン」とかはSNSでもよく見るけど、この手の言い回しは、最近の業界人はあまり使わないようにも思う。まあ、広まり過ぎたんだろうな。

ただ、最近でもメディアや広告まわりの業界では、「ちょっと違った言い回し」というのは。たしかにある。

この間、ふと気づいたんだけど、こんな感じ。

「あの、映画見た?」

「見れてません」

「見れてません」じゃなくて、「見られてません」が正しいだろ、とかそういう話ではない。まあ、「見れて」は誤用だと思うが、そこじゃない。

どうして「見てません」じゃなくて、「見れてません」と「可能(不可能)」の助動詞をつけるのか。つまり「自分の意志で見てない」のではなく、「見たいけれど何らかの事情で見ることができない」というニュアンスなのだろう。

そして、「見ることできない」事情のほとんどは「忙しい」からだと推察できる。

「実は先週アニサキスの中毒で、七転八倒で映画どころじゃなかったんです」そんな話になることは滅多にない。

というわけで「ホントは見なきゃいけないんだけど、忙しいんですよ、お察しください」という言い訳を一瞬で行っているんじゃないか。

だから「見れてない」と、いうわけだ。 >> なぜ業界人は「見てない」ではなく、「見れてない」というのか?の続きを読む



オジサンが、いや「ジジさん」が狙われているらしい。

「爺さん」ではなく、『GG』という雑誌の話で、かつて「ちょいワル」「ちょいモテ」で話題になった雑誌「LEON」の岸田一郎氏がチャレンジするという。

少し前にその編集長がインタビューに答えた記事があって、それがキモイとか何とか話題になっていたらしい。創刊前から、十分に燃料を補給して炎上上等なのか。

そんなことを思っていたら、ちょっと前に日経新聞にも記事が出ていた。(6/17夕刊)

これがジジの大人買い 50~60代、「カッコいい」に貪欲

という見出しの下に、やはり『GG』の話が出ていて、これは「ゴールデン・ジェネレーションズ」ということらしい。いや、新宿のあの辺りで飲む人ではなく、だったら僕もそうなんだけど、50代から60代を狙うのか。そうなると、僕はこのターゲットの中ではまだまだ「下級生」ということになるのか。

そして、日経の記事には伊勢丹の人がコメントしている。

「今流行の体にフィットしたパンツが売れるなど、以前の60代とは明らかに売れ筋が違う」 >> なぜ「ちょいワル」の幻影を追っかけるんだろ?の続きを読む



若い人は、いろんなことを知らない。まあ、それはある意味当然なわけで、歳を重ねれば知識が増えるのが道理のはずだ。だから、「知らないこと」自体に驚いたり、まして批判したりしてもしょうがないとは思っている。

ところが、最近は学生や20代の若い人と話すと、「エ?」と思うことが増えた。

日本がアメリカと戦ったことを知らないとか、ウナギイヌを見たことない、とかそういうんじゃない。

普通のブランド名を知らないのだ。

「知っている自動車メーカー」というと、まずトヨタが挙がる。「高級なクルマ」というと、「ベンツやBMW」というのも知っている。ところが、他のメーカーになると怪しい。

「スバルってマツダが作ってるんですか?」というような話になっても、別に普通で驚かなくなった。

「自宅にあるウィンドウズPCはどのメーカーか?」

これも、結構怪しい。親が持っていたりするのを使うこともあって、それは「ウィンドウズ」なのだ。最近だと日本メーカーとは限らない。そして、富士通やNECなどの企業イメージもほとんど薄い。「mac bookとそれ以外」という感じだ。

なぜか?と考えてみると、そもそも「ブランド認知」の機会が減っている。それは、テレビを見ていないことが大きいと思う。この辺りは横山隆治さんの『新世代デジタルマーケティング』に詳しいが、彼らに「知ってもらう」のは本当に大変だ。 >> 「スバルってマツダが作ってるんですか?」と学生が言っちゃう理由。の続きを読む



飲食店の人と話をすると、大概は「ぜんぜん良くないですよ」というニュアンスになる。

これは、彼らなりの渡世術というところもあって「いやぁ、予約断るのに一苦労です」と言っていたら可愛げがないだろう。せいぜい「貧乏暇なしで」というのが、ご挨拶となる。

とはいえ、飲食店の様子は身近な景気の物差しになる。

会社員の頃に、ランチタイムに立ち食いそば屋の行列をチェックしていたけど、見事なほどに不景気に比例して列が伸びていた。

金融危機の後に、外国人の多かったレストランは恐ろしいほど空いていたことも思い出す。

しかし、最近の様子はどこか違う。同じ外食産業でも業態によって、かなり違っているようで、飲酒を前提にしているところは厳しくなる一方のようだ。 >> 外食と酒の「デカップリング」が、ますます進む。の続きを読む



毎春、大学の講義で「自分の買い物」を振り返って分析する課題を出す。

一つ買ったものを挙げて、「どのような情報などが影響したか」「そもそも、そのモノを買おうと思ったのにはどのような理由や気分があったのか」の2点を書いてもらう。

この提出物を共有しながら講義を進めていくと、いろいろな消費者心理の仕組みが分かってくる。

「バンドワゴン効果」とか「稀少性」とか、「準拠集団」などがどんな風に影響するのか?

ケースを見ながら翌週にテクニカルタームのおさらいをするのだ。

企業研修でもおこなうことがあるけれども、いきなりセオリーを教えるよりも遥かにスピーディに学べると思う。

で、今年の春に気づいたのは「バイトの収入が入ったから」というご褒美系が多かったこと。4月の課題なので、春休みのバイトは確かに関係しているんだけど、今年は妙に目立つ。そうか!アルバイトの時給アップはこういうところに来ているんじゃないか。ラウンドワンの業績がいい、という記事がちょっと前にあった。あのように若い客が多い業態だから、バイトの時給上昇が直結するという解説だった。 >> 『人手不足なのになぜ賃金が上がらないのか』という理由はわかるけど。【書評】の続きを読む