想像以上に豪華なご馳走は、配膳も巧み。ルノワール展
(2016年5月15日)

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renoirオルセー美術館・オランジュリー美術館所蔵 ルノワール展 国立新美術館

先週の金曜日、上野の若冲はTDRも真っ青の状態だったし、出品目録を確認したら見た作品が多かったし、でルノワール展に行った。

平日の17時前とはいえ、人が少なくゆったりしていて、さすがに驚く。かつては印象派と言えばそれだけでごった返した。きっと「バーンズ・コレクション展」あたりが頂点だったかと思うけれど、いま調べたら1994年だ。まだ80年代の余韻もあって、デパート美術館に慣れ親しんだ層が多かったんだろう。

というわけで、ゆったり見られたルノワール展だが、これが相当に豪勢なご馳走だった。

ポスターにも使われた「ムーラン・ド・ラ・ギャレットの舞踏会」はもちろんだが、とにかくオルセーで見た記憶のある作品がワサワサとある。

入っていきなり「猫と少年」で、「読書する少女」が佇み、もうこの辺りで相当期待が高まる。

ウェブサイトの「見どころ」で紹介されている、「ピアノを弾く少女たち」や「浴女たち」などはまさに見どころなんだけれど、この展覧会はテーマ設定と構成が素晴らしい。

舞踏会を「現代の田園詩?」と言うタイトルで展開させて、コローの「ニンフたちのダンス」から、ダンスホールを描いたゴッホの作品まで一気に見せたりする。

展覧会では目玉の作品以外に「埋め草」のようなものが多いこともあるが、今回はそんなことが全くない。

デッサンを集めたコーナーでは、あらためて実力が感じられる。まだ「子どもたち」というコーナーでは、意外なほどに眼がクッキリと強く描かれていくことに驚く。

そういえば、ボッティチェリ展でも感じたけれど、近年の展覧会の構成は巧みになっている。きっと、学芸員の能力水準が高くなっているんだろうけど、こういうのってジワジワと強まってくるんだろうな。

期間も長いので、もう一度行ってもいいかなと思っている。「ああ、ルノワールか」と思って見逃したら後悔するんじゃないか。というくらいに、いい展覧会だ。

ボーッと見ているだけで、幸せになれる展覧会ってそんなにないよ。それにしても、今夏にオルセー行く人には、同情してしまうなぁ。