「確信」を求めてたら、いつまでも会社は辞められない。
(2016年5月17日)

カテゴリ:キャリアのことも

先日、主としてミドル世代を対象にしたセミナーに行った。

会社を辞めて独立する、というだけではなく「会社員でありながら二足のわらじで頑張る」とか「会社との関係を維持しながら独立する」とか、いろんな方法があるんじゃないか?と考えてみるのが主眼だ。

聴講は多くが会社員だった。主宰の方は既に定年退職をされているが、在職中から本を書かれており、今でも現役社員から相談を受けるという。

会社員が「そろそろ辞めて、独立すっか」と思って、ヒョイと行く人はそうそういない。傍から見て「ゼッタイ大丈夫だろ」と思っても、本人は悩んでいたりする。

やっぱり、最大の悩みどころは「食っていけるか」ということだ。

そして、相談に来る人は、そもそもためらいがあるという。その時に、異口同音に言うのは「もう少し、研鑽を積んでから」というらしい。

いや、そんなこと言ってたらいつまでたっても会社辞めるのは無理だよ、という話になったのだけど僕もそう思う。

辞めて成功する確率が100%になるわけはない。そんなことは誰でもわかってる。問題は、気持ちの中で「80%くらいは欲しい」とか「せいぜい50%程度は」など、妙な計算を始めることだ。

そんなのはわかるわけがない。いま、目の前に道があって、一方はそれなりに見通しがあるが、もう一方は霧がかかっている。よくわからないけど「霧だって晴れるんじゃないか」と思って歩いていたら、どうにかなった。

会社を辞めてから振り返ってみると、そんな感じだ。つまり「確信を得る」タイミングを待っていたら、いつまで経っても思い切った決断はできない。

じゃあ、どうしても辞める人と、辞められない人がいるのか。これが、意外とよくわからない。

辞めてしばらく経って、それなりに過去を美化している。「辞めた時の気持ち」なんて、聞いたところで参考にならないだろうと思う。

ただ、実際に独立して、その後も仕事を継続している人には共通点もある。

それは、辞める時に「最小・最低・最悪」のシミュレーションをしているということだ。

仕事の量・質、そして心理に至るまで、「ミニマム」を徹底して考える。

そういえば、なかなか踏み切れない人は、このシミュレーションが嫌になっていることもあるようだ。

「一番やばい状態」を想像できないから、確率を上げたがる。そして「うまくいけばこんな感じ」ばかりを妄想して前にいかない。

そうなると、「会社を辞めて独立」するかどうかは、想像力の問題だし、もしかすると「小説やフィクションが好き」とか意外な因子があるのかもしれないな、とか思ったりもするのだ。