先日、久しぶりにリアル書店に行った時のことを書いたら、昨日は神戸市内で中核書店が閉店したというニュースがあった。記事はこちらだが、ネットでも話題になっている。問題点はこちらの声の通りだろう。
記事の中で「ネットの”おすすめ機能”」が上がったことで、書店の優位性が脅かされたというが、僕はそうなのかな?と思う。
書店の、おすすめや分類も結構不思議なことになっているからだ。
先般、北斎関連の本を求めて大型書店に行った時、美術書のコーナーでは結局買わずに、一応歴史のコーナーへ行った。やはり芸術系の本は殆どなかったのだけど、久しぶりに歴史関連の棚を見ると、唸ってしまう。いや、あまりいい意味ではなく。
本棚には、いわゆる「仕切り板」がある。本の間に挟んでいる板で、メジャーな作家やテーマで分類される。
で、この書店は明治以降だと、まず「福沢諭吉」がドーン、とある。次はぐっと減って「後藤新平」が数冊。そして「北一輝」が3冊程度。作者名は他にはない。全体として荒涼としている。
かと思うと「戦争責任」という仕切り板もあるのだが、これも3冊くらい。書店の「思い入れ」というよりは「思いつき」にしか見えない。
そういえば、ネットでも同じだった。僕も「何でもamazon」というのもどうかと思って、一時期他のネットショップで買っていた。ところが、こちらには「スタッフのおすすめ」に合わせた作りになっていて、これがまた使いにくかったのだ。
本好きは、みな書店が好きだった。だから書店閉店は寂しくは思う。思うのだけれど、残念ながら、リアル書店の方が、どんどん遠くに行ってしまった。

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「笑っていいとも!」が終わるらしい。
「タモリ倶楽部」は毎週見ている数少ないテレビ番組だが、こちらの方はさすがに見なくなっている。1982年のスタートというから、考えてみると自分が大学に入った年だ。ある意味続いていたことが不思議でもある。
ちょうど30年余りが経つわけだが、この番組が終わるのはフジテレビにとっても象徴的な気がする。
フジテレビは、ちょうどこの頃から視聴率を伸ばしてメジャーになっていった。「楽しくなければテレビじゃない」というスローガンでテレビ自体の位置づけを変えていったようにも思う。
「笑っていいとも!」や「ひょうきん族」などのバラエティーと、いわゆる「トレンディードラマ」で、若年層のファンを増やした。簡単にいうと「お笑い」と「色恋」で視聴率を引っ張っていったわけだ。
もっとも、競馬やF1などのスポーツコンテンツも話題になったし、報道にも勢いがあった。日航機の御巣鷹山の事故で、生存者の存在をスクープしたのもフジテレビだったと思う。
90年代に入って日本テレビが視聴率の1位になることが目立つが、その後もフジテレビと日本テレビは僅差で年間視聴率を競っていた。
つまり、「笑っていいとも!」ともの30年余は、フジテレビの隆盛期とも重なるのだ。
それが、近年変化している。テレビ朝日の視聴率が伸びて、日本テレビと競るようになった。フジは3位で、かつ数字的にも離される傾向がある。もっとも売上げなどの数字は、まだ強いようだが。

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学生が新聞などを「読む必要がない」と考える場合の大きな理由は「マスメディアは真実を伝えているのか」という立場からの発想だ。ネットが広がってから、当然この傾向は強い。ただし、ネット言論の発達がマスメディアへのチェック機能を果たせば、長期的には修正されると思っている。
ただ、僕が「新聞を読んだ方がいいよ」とハッキリ言いにくい理由は別にあって、単純に言うとカネの問題なのだ。実家から通っているならともかく、一人暮らしで月に4000円あまりの金額というのは、学生が自分で払うには結構きつい。仕送り額は、ずっと減少傾向にある。
もっとも、この金額を高いと思うか妥当だと思うかは人それぞれだろう。ただ、学生に限らず新聞代というのはいわゆる「家計リストラ」では真っ先に上がるくらいだ。実際に家計簿を管理すれば、まず固定費に手をつけるわけで、実は新聞の購読者減少の大きな理由はここにあるんじゃないかと思っている。
そもそも、新聞や雑誌、書籍はずっと価格が上がり続けている。新聞だと平成元年が3000円くらいだから、かなりの上昇率だ。それなのに「より安い代替手段」が少ない。この時点で、「読むかやめるか」の二択になってしまう。
あらゆる商品でデフレが続いたので「割高感」は、当然強い。

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久しぶりに書店に行った。というくらい、ネットで本を買うことが当たり前になっていたのだが、やはり大型書店に行きたくなったのだ。
きっかけは長野の小布施に行ったこと。葛飾北斎がこの町を訪れたのが80歳を超えてからという話を知って、半信半疑のまま北斎について調べたくなったからだ。
本と言っても、図版を伴うものも多いだろうから、ということで新宿の書店へ行った。
で、結論から言うと何も買わなかった。
美術書のコーナーへ行ったのだが、事前にamazonで調べたよりも点数がないし、本当に探しにくい。理由は簡単で、出版社の全集やシリーズごとに並べられているから「北斎」と言っても、あちこちに飛ぶ。まして新書や文庫となるとフロアすら違う。
で、やっと書店に来なかった理由を思い出した。そう、この苛立ちがストレスになるのだ。
書店の棚割りは、「内容別」ではなく、「形態別」なので、こうなると、もうどうしようもない。
結局、図書館で調べてamazonで購入するということになった。
改めて思ったのだが、リアル書店というのはどんな意味があるのだろう。
この書店も、売りたい本は、いわゆる「多面展開」をしていて、これでもかとばかり場所を占めている。こうして、リアル書店では、売れそうな本ばかりが目立つのでライトユーザはそれでいいかもしれない。ただし、そうすればするほど、総点数は減るわけで、本好きには物足りない。結局ネットで買うと思う。

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212-nikkei.png10月となると、そろそろ今年を振り返ってしまう。早過ぎるような気もするかもしれないが、12月決算の自営業だといろいろ総括する感じなのだ。
紅白歌合戦では「あまちゃん」関係がこれでもかと悪乗り気味にハシャぎ、年が明ければ「2020・TOKTO」に向けての未来予測が湧いてくるんだろうなと。
で、今年の流行語って、結構わかりやすいなと思う。
「アベノミクス」「今でしょ!」「じぇじぇじぇ」「倍返し」「お・も・て・な・し」あたりだろうか。学生に聞いてもこの5つまではすぐに出てくる。
いかにも、昔ながらの「流行語」っぽいなあ、と思う。
まず、「マスメディア発」の言葉が多い。CM、ドラマ発で、スポーツ選手が漏らした一言などが目立たない。芸人発も、影が薄い。「iPS細胞」のような、科学系の言葉もあまりない。もっともノーベル賞や日本シリーズはこれからなので、まだわからないけど。
また、何というか「カネのにおい」がするのも今年の特徴だと思う。アベノミクスはずばり経済の話だし、その株高局面で(買うのは)今でしょ!という流行り方になった。「倍返し」も銀行の話だし。そういえばやや玄人好みだが「異次元」もあった。
でも、地に足の着いている感じがしない。右肩上がりだけど、何だかフワフワしてるのだ。やはり根底にあるのは緩和政策を背景にした株高で、その勢いにとりあえずみんな乗ってみましたということなんだろう。東京五輪だって決まったはいいけれど、「じゃあ、どうするんだ」と考え始めると百家争鳴だろうし。

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